1. TOP
  2. 未分類
  3. 目次(51)~(74)関連法に関する説明

目次(51)~(74)関連法に関する説明

 2019/07/07 未分類  

Contents

51国土利用計画法(30)

この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めるとともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用を調整するための措置を講ずることにより、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とします。

 

【法14条1項(規制区域に所在する土地に関する権利の移転等の許可)】

規制区域内の土地の所有権、地上権等の使用収益権またはこれらの権利の取得を目的とする権利(予約完結権・買戻権等)を有償で移転または設定する契約(予約を含みます)を締結しようとする場合には、当事者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(法14条1項)。

 

【法23条1項(土地に関する権利の移転または設定後における利用目的等の届出)】

一定規模以上の土地(一団の土地を含みます)について、土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該土地売買等の契約により土地に関する権利の移転または設定を受けることとなる者(以下「権利取得者」といいます)は、その契約を締結した日から2週間以内に、一定事項を当該土地が所在する市町村長を経由して、都道府県知事に届け出なければなりません。

ただし、法12条1項により指定された規制区域、法27条の3第1項により指定された注視区域、または法27条の6第1項により指定された監視区域に所在する土地について、土地売買等の契約を締結した場合には、届出の必要はありません(法23条)。

 

(解説)

ここでいう「一定規模以上の土地」とは、

  • 監視区域内の場合は、都道府県知事が規則で定める面積
  • 監視区域以外の場合は、
  • 市街化区域で2000平方メートル
  • 市街化区域以外の都市計画区域で5000平方メートル
  • イおよびロ以外の区域で1万平方メートル

「規制区域」とは、都市計画区域にあっては、その全部または一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、または行われるおそれがあり、および地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあるもの、都市計画区域以外の区域にあっては、右の事態が生ずる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適性かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となる区域につき、当該都道府県知事が5年以内の期間を定めて指定した区域をいいます(法12条1項・2項)。

「注視区域」とは、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な範囲を超えて上昇し、または上昇するおそれがあるものとして内閣総理大臣が定める基準に該当し、これによって適性かつ合理的な土地利用の確保に支障が生ずるおそれがある区域(規制区域および監視区域として指定された区域を除きます)として、5年以内の期間を定めて指定される区域をいいます(法27条の3)。

「監視区域」とは、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適性かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがある区域を5年以内の期間を定めて指定した区域をいいます(法27条の6)。

 

52廃棄物の処理および清掃に関する法律(3

1)

この法律は、廃棄物の排出を抑制し、および廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、ならびに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全および公衆衛生の向上を図ることを目的とします。

「廃棄物」とは、ごみ、粗大ゴミ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質およびこれによって汚染されたものを除きます)をいいます。

 

【法15条の19第1項~第4項(土地の形質の変更の届出および計画変更命令)】

指定区域内において、土地の形質の変更をしようとする者は、変更に着手する30日前までに、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法および着手予定日その他の事項を都道府県知事に届け出なければなりません。

ただし、次の行為については、この届出は必要ありません(法15条の19第1項)。

  • 措置命令に基づく支障の除去等の措置として行う行為
  • 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為
  • 指定区域が指定された際既に着手していた行為
  • 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

指定区域が指定された際当該指定区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければなりません(法15条の19第2項)。

指定区域内において非常災害のため必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、その変更をした日から14日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければなりません(法15条の19第3項)。

都道府県知事は、上記1項の届出があった場合において、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないときは、その届出を受理した日から30日以内に限り、その届出をした者に対し、その施行方法に関する計画の変更を命ずることができます(法15条の19第4項)。

 

(解説)

「指定区域」とは、廃棄物が地下にある土地で、土地の掘削その他の土地の形質の変更が行われることにより、当該廃棄物に起因する生活環境の保全上の支障が生ずるおそれがあるものとして都道府県知事が指定した区域をいいます(法15条の17第1項)。

この指定は、公示され、都道府県知事は指定区域台帳を調整して、公衆の閲覧に供することとしています(法15条の17第2項、15条の18)。

 

53土壌汚染対策法(32)

この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置、およびその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的としています。

「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除きます)であって、それが土壌に含まれていることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいいます(法2条1項)。

なお、本法律は平成15年2月から施行されていますが、これまで、法に基づかない自主的な調査による土壌汚染の発見の増加、掘削除去の偏重、汚染土壌の不適切処理による汚染の拡散などの課題が明らかになったことから、これらの課題を解決するため、健康被害の防止という法の目的を継承しつつ、土壌の汚染の状況の把握のための制度の拡充、規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化、汚染された土壌の適正処理の確保に関する規定の新設などを盛り込んだ改正法が平成21年4月24日に公布され、平成22年4月1日から施行されました。

 

【法6条(都道府県知事による要措置区域の指定)】

都道府県知事は、土地が次の①、②のいずれにも該当すると認めるときは、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該汚染による人の健康被害を防止するため、当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他の措置を講ずることが必要な区域について「要措置区域」として指定します。(法6条1項)。

  • 土壌汚染調査の結果、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないこと(同項第1号)
  • 土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係わる被害が生じ、または生ずるおそれがあるものとして法令で定める基準に該当すること(同項第2号)

 

【法9条(要措置区域内における土地の形質の変更に関する制限)】

法第6条で指定された要措置区域内においては、何人も、土地の形質の変更をしてはなりません。(法9条)。ただし、次の各号に掲げる行為については、この限りではありません。

  • 都道府県から指示を受けた者が指示措置等として行う行為
  • 通常の管理行為、軽易な行為であって、環境省令で定めるもの
  • 非常災害のために必要な応急措置としての行為

 

【法12条(形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の事前届出義務)】

都道府県知事は、土地が法9条で記載した、①に該当するが、②には該当しないと認めるときは、当該土地の区域を、その土地が特定有害物質によって汚染されており、当該土地の形質の変更をしようとするときには届出をしなければならない区域について「形質変更時要届出区域」として指定します(法12条1項)。

その形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、その着手する日の14日前までに、都道府県知事にその旨を届け出なければなりません。

また形質変更時用届出区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、その土地の形質を変更した日から起算して14日以内に都道府県知事に届け出なければなりません(同条第3項)。

 

54都市再生特別措置法(33)

この法律は、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことにかんがみ、これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図ろうとするものです。

 

【法第45条の7(都市再生歩行者経路協定の効力)】

都市再生緊急整備地域内の一団の土地の所有者及び建築物その他の工作物の所有を目的とする地上権または賃借権を有する者は、その全員の合意により、その地域内における都市開発事業の施行に関連して必要となる歩行者の移動上の利便性と安全性の向上のための経路の整備または管理に関する協定(以下「都市再生歩行者経路協定」という。)を締結することができます(法第45条の2)。この都市再生歩行者経路協定は、市町村長の認可の公告があった後にその協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力が及びます(法第45条の7)。

 

【法第45条の8第5項(認可の公告後、都市再生歩行者経路協定に加わった場合の効力)】

都市再生歩行者経路協定区域内の土地所有者でその経路協定の効力が及ばないものは、認可の公告があった後いつでも、その経路協定に加わることができますが(法第45条の8第1項)、その加わった者がそのときに所有し、または借地権等を有していたその協定区域内の土地について、認可の公告があった後にその土地の所有者等となった者に対しても、その効力が及びます(法第45条の8第5項)。

 

【法第45条の11第4項(一人の所有者による都市再生歩行者経路協定の設定)】

都市再生緊急整備地域内の一団の土地で、一人の所有者以外に土地所有者等が存しないものの所有者は、都市再生歩行者経路の整備または管理のために必要があると認めるときは、市町村長の認可を受けて、当該土地の区域を協定区域とする都市再生歩行者経路協定を定めることができます(法第45条の11第1項)。

この都市再生歩行者経路協定は、認可の日から起算して3年以内において当該協定区域内の土地に二人以上の土地所有者等が存することとなったときから、法第45条の4第3項の規定による認可の公告のあった都市再生歩行者経路協定と同一の効力を有する協定となります(法第45条の11第4項)。

 

(解説)

この法律において、「都市再生緊急整備地域」というのは、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として政令で定める地域のことをいいます(法第2条3項)。

この法律で、平成21年10月1日に創設された都市再生歩行者経路協定は、いわば快適な公共空間を実現するための歩行者ネットワーク(歩行者デッキ、地下歩道、歩行者専用通路等)の整備または管理に関する協定で、例えば管理費用の分担、清掃・防犯活動、ベンチ、植栽、エスカレーター等の設置・管理等を定めることができます。

この協定区域内の土地所有者等は、その協定に定められた都市再生歩行者経路の整備または管理に関する基準に従って経路の整備または管理を行うことが求められ、整備に係る実質的な費用負担や協定に違反した場合の違約金などが課されることもあり得ます。したがって、土地の購入者等にとって、当該土地が都市再生歩行者経路協定区域内であるか否かは契約をするかどうかの意思決定を左右するものであり、また、そのことを購入者等が事前に知り得ない場合は不測の損害を被る可能性があります。そこで、この協定は、購入者等にとって重要事項として、法令上の制限の一内容として説明することとなっています。

【法45条の13第3頁(退避経路協定の効力)】

都市再生緊急整備地域で大規模地震が発生した場合、滞在者等が安全に退避できる経路について土地所有者等が、その全員の合意により、整備又は管理に関する事項等を定めた協定を「退避経路協定」という(法45条の13第1頁)。この協定は、公告後に協定区域内の土地所有者等となった者に対しても、その効力があります(法45条の13第3頁)。

 

【法45条の14第3頁(退避施設協定の効力)】

都市再生緊急整備地域で大規模地震が発生した場合、滞在者等が安全に確保できるオフィスビル等の退避スペースについて、土地所有者等が、その全員の合意により、整備又は管理に関する事項を定めた協定を「退避施設協定」という(法45条の14第1頁)。この協定は、公告後に協定区域内の土地所有者等となった者に対しても、その効力があります(法45条の14第3頁)。

 

【法45条の20(管理協定の効力)】

都市再生緊急整備地域で大規模地震が発生した場合、滞在者等の安全を確保するために必要な食料等の物資を提供するために、これらを備蓄する備蓄倉庫について、地方公共団体が備蓄倉庫所有者等との間において権利者に代わって管理を行うこと等を定めた協定を「管理協定」という(法45条の15第1頁)。この協定は、公告後に協定施設の備蓄倉庫所有者等となった者に対しても、その効力があります(法45条の20)。

 

【法45条の21第5項(非常用電気等供給施設協定の効力)】

都市再生緊急整備地域において大規模災害が生じた場合、地域内の滞在者等の安全の確保を図るため、都市再生緊急整備協議会は、都市再生安全確保計画を作成することができることとされていますが、この計画において大規模な地震が発生した場合に滞在者等の安全や業務機能・行政機能等の継続を確保するため、エネルギーの安定供給を確保するための非常用の電気または熱の供給施設(非常用電気等供給施設)の設備等に関する事項を記載することができることになっています。

そこに記載された事項について、土地所有者等は、その全員の合意により、非常用電気等供給施設の整備または管理に関する協定を締結することができ(法45条の21第1項)、この協定は、公告があった後において協定区域内の宅地所有者等となった者に対しても、その効力が及びます(法45条の21第5項)。

 

【法88条1項・2項(居住誘導区域外における開発行為等の事前届出義務)】

市町村は、住宅及び医療施設、福祉施設、商業施設その他の居住に関連する施設の立地の適正化に関する計画(「立地適正化計画」)を作成することができますが、その計画に記載された居住誘導区域外において、一定規模以上の住宅等の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければなりません(法88条1項)。

また、その届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければなりません(同条2項)。

 

【法108条1項・2項(都市機能誘導区域外における開発行為等の事前届出義務)】

市町村は、住宅及び医療施設、福祉施設、商業施設その他の居住に関連する施設の立地の適正化に関する計画(「立地適正化計画」)を作成することができますが、その計画に記載された都市機能誘導区域外において、誘導施設(都市機能誘導区域ごとにその立地を誘導すべき都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設その他の都市の居住者の共同の福祉または利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。)として立地適正化計画に記載されたものをいう。)を有する建築物の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければなりません(法108条1項)。

また、その届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければなりません(同条2項)。

 

(解説)

都市再生特別措置法の一部を改正する法律が平成24年7月1日に施行されました。これは平成23年3月の東日本大震災の発生や将来的に首都直下地震が発生する確率が比較的高いこと等に鑑み、従前の都市再生緊急整備地域において滞在者等の安全を確保する趣旨で改正されたものです。中でも、当該地域において大規模地震が生じた際の避難経路や避難施設、各種物資の備蓄をする備蓄倉庫について、各主体が協定を締結し、それらを整備または管理することが出来る旨が定められ、当該協定に係る承継効(各種協定締結後に、新たに当該協定に係る施設等の所有者になった場合、当該協定の効力は新所有者等に及ぶ、というもの)について、新たに宅建業法上の重要事項として施行令に追加されました。この協定区域内の土地所有者等には、当該協定に定められた内容に従って退避経路等の整備や管理を行うことが求められ、整備にかかる実質的な費用負担や協定に違反した場合の違約金等の制裁も定められていることから、土地の購入者等にとって当該土地がこれらの協定区域内であるか否かは契約をするかどうかの意思決定を左右するものであり、また、その旨を事前に知りえない場合は不測の損害を被る可能性があります。そのため、これらの協定の承継効に関する規定も法令上の制限の内容として重要事項説明の対象とされました。

さらに、近年わが国の地方都市では拡散した市街地で急激な人口減少が見込まれる一方、大都市では高齢者の急増が見込まれる中で、健康で快適な生活や持続可能な都市経営の確保が重要な課題となっていることから、都市全体の構造を見渡しながら、居住者の生活を支えるようコンパクトなまちづくりを推進するため、市町村が「立地適正化計画」を作成することができる等のこの法律の改正が行われ、平成26年8月1日から施行されました。この改正では、市町村は、住宅及び医療施設、福祉施設、商業施設その他の居住に関連する施設の立地の適正化に関する計画(「立地適正化計画」)を作成することができることとし、この計画には、居住誘導区域(居住を誘導すべき区域)と居住に関連する施設の立地を誘導すべき区域(都市機能誘導区域)を定めることとしています。そして、この区域外において、一定の開発行為等を行うときには、市町村長への届出が義務づけられていますが、これらの届出義務については届出をしない場合等には罰則が課せられるなど、これを知らないで当該土地・建物を購入した者が不測の損害を被るおそれがあるため、この届出義務に関する規定も重要事項説明の対象とされました。

 

55地域再生法(33の2)

この法律は、近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組みによる地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進していくために、所要の措置を講ずることを目的としています。

 

【法17条の8(建築等の届出)】

地域再生土地利用計画に記載された集落生活圏の区域内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、これらの行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を認定市町村の長に届け出なければならない。

一 当該地域再生土地利用計画に記載された前条第3項第2号の誘導施設を有する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為又は当該誘導施設を有する建築物を新築し、若しくはその用途を変更して当該誘導施設を有する建築物とする行為(当該誘導施設の立地を誘導するものとして当該地域再生土地利用計画に記載された地域再生拠点区域内において行われるものを除く。)

二 当該地域再生土地利用計画(前条第4項第2号に掲げる事項が定められているものに限る。)に記載された地域再生拠点区域内における土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為(当該地域再生土地利用計画に記載された同項第1号に規定する事業の係るものを除く。)

2 次に掲げる行為については、前項の規定は、適用しない。

一 軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三 都市計画法第4条第15項に規定する都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

四 その他認定市町村の条例で定める行為

3 第1項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を認定市町村の長に届け出なければならない。

4 認定市町村の長は、第1項又は前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が地域再生土地利用計画に適合せず、地域再生拠点の形成を図る上で支障があると認めるときは、当該届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し場所又は設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。

5 認定市町村の長は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、当該誘導施設に係る地域再生拠点区域内の土地の取得又は当該届出に係る土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(解 説)

この法律では、地方公共団体は、単独又は共同して地域再生を図るための計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることができるとされていますが(法5条)、この認定を受けた地方公共団体を「認定地方公共団体」といいます(法8条1項)。

認定地方公共団体である市町村は、認定地域再生計画に記載されている集落生活圏について、地域再生拠点の形成並びに農用地等の保全及び農業上の効率的かつ総合的な利用を図るための土地利用に関する計画(地域再生土地利用計画)を作成することができます(法17条)。そして、この地域再生土地利用計画に記載された集落生活圏の区域内において一定の開発行為、建築行為を行おうとする場合や地域再生拠点区域において土地の区画形質の変更や建築物の建築を行おうとする場合は、これらの行為に着手する日の30日前までに、一定事項を認定市町村の長に届けなければなりません(法17条の8第1項)。また、認定市町村の長は、その届出に係る行為が地域再生土地利用計画に適合せず、地域再生拠点の形成を図る上で支障があると認めるときは、場所又は設計の変更等を勧告することができるとされています(同条4項)。

これらの届出義務のことを知らないで、当該区域内の土地建物を購入等した場合、届出をしないこと等により罰則を受けるなど、不測の損害を被るおそれがありますので、法令上の制限として重要事項説明の対象とされています。

 

56高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に

関する法律(34)

この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活および社会生活を確保することの重要性にかんがみ、道路、公園施設、建築物等につき一定の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の日常生活および社会生活における移動上および施設の利用上の利便性および安全性の向上の促進を図ることを目的とします。

 

【法46条(移動等円滑化経路協定の承継効)】

移動等円滑化経路協定は、その公告があった後において当該移動等円滑化経路協定区域内の土地所有者等となった者に対しても、その効力が及びます(法46条)。

 

(解説)

「移動等円滑化経路協定」とは、重点整備地区内の一団の土地の所有者等が、その全員の合意により、当該土地の区域における移動等円滑化のための経路の整備または管理に関して締結する協定をいいます(法41条)。

協定区域内の土地所有者等は、協定に定められた移動等円滑化に関する基準に従って各々の経路または経路を構成する施設の整備または管理を行うことが求められ、協定によっては、施設整備に係る実質的な費用負担や協定に違反した場合の違約金などが課されることもあり得ることから、土地の購入者等にとって、当該土地が移動等円滑化経路協定区域内であるか否かは契約の意思決定を左右しうるものであり、また、その旨を購入者等が事前に知りえない場合は不測の損害を被る可能性があるため、重要事項として契約締結前に購入者等に説明する必要があります(宅地建物取引業法施行令3条)。

さらに、移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等の全員の合意による移動等円滑化施設協定の公告があった後は、当該協定の対象である土地の所有者等となった者に対しても当該協定の効力が及ぶことになります。

 

【法50条4項(一の所有者による移動等円滑化経路協定の設定の効力)】

重点整備地区内の一団の土地で一人の所有者以外に土地所有者等が存しないものの所有者は、移動等円滑化のために必要があるときは、市町村長の認可を受けて、当該土地の区域を移動等円滑化経路協定区域とする移動等円滑化経路協定を定めることができます(法50条1項)。

この移動等円滑化経路協定は、認可の日から3年以内に当該区域内の土地に2以上の土地所有者等が存することになったときから、上記法43条3項の移動等円滑化経路協定と同一の効力を生ずる(法50条4項)。

これについても、上記法46条と同様の趣旨から、宅地建物取引業法施行令3条により、重要事項として説明義務が定められています。

 

【法51条の2第3項(一団の土地所有者等による移動等円滑化施設協定の効力)】

移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等は、その全員の合意により、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる案内所その他の当該土地の区域における移動等円滑化に資する施設の整備又は管理に関する協定(移動等円滑化施設協定)を締結することができます。この場合において、公告があった移動等円滑化施設協定については、その公告後に当該協定の対象である土地の所有者等となった者 に対しても当該協定の効力が及びます。

 

57災害対策基本法(35)

 

*法第49条の5(指定緊急避難場所等における改築等の届出)

同法では、市町村長は政令で定める基準に適合する施設または場所を、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定緊急避難場所として指定しなければならないとされ、また政令で定める基準に適合する公共施設その他の施設を指定避難所として指定しなければならないとされていますが、その指定緊急避難場所及び指定避難所の管理者が、当該場所等を廃止し、または改築その他の事由により当該施設の現状に重要な変更を加えようとするときは、市町村長に届け出なければならないこととされています。

 

(解説)

この法律は、昭和34年に発生した伊勢湾台風による災害を契機に昭和36年に制定された法律ですが、東日本大震災の経験を踏まえて、平成25年に改正がなされました。改正の要旨は、①市町村長による避難行動要支援者名簿の作成②被災市町村、被災都道府県の事務の、国による応急措置の代行③市町村長による指定緊急避難場所及び指定避難所の指定の3つですが、その③の内容は次の通りです。

市町村長は、指定緊急避難場所(災害が発生し、または発生する場合における円滑かつ迅速な避難のための立退きの確保を図るため、市町村長が指定する施設または場所)を指定しなければならないものとし、また指定避難所(災害が発生した場合における適切な避難場所の確保を図るため、市町村長が指定する施設)を指定しなければならないものとしています。そして、その指定緊急避難場所及び指定避難所の管理者が、当該指定緊急避難場所等を廃止し、または改築その他の事由により当該施設の現状に重要な変更を加えようとするときは、その旨を当該市町村長に届出することが義務づけられています。

これらの場所等の管理者には、届出という負担があるため、もし、これを知らないで当該宅地または建物を購入等したものは、不測の損害を被る恐れがあります。そこで、同法のその部分の施行(平成26年4月1日)に伴い、重要事項説明の「法令の制限」にこれが追加されました。

なお、指定緊急避難場所等は、市町村長により公示がなされます。

 

 

58東日本大震災復興特別区域法(36)

 

【法64条4項及び5項(復興整備事業の実施区域のうち届出対象区域内における土地の区画形質の変更等の届出)】

東日本大震災の被災関連市町村は、復興整備計画区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部または一部の区域を、届出対象区域として指定できるものとしているが(法第64条第1項)、その届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築または増築、その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する30日前までに、内閣府令で定めるところにより、一定の事項を被災関連市町村長に届出なければなりません。

ただし、次に掲げる行為については、この限りではありません。

① 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

② 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

③ 国または地方公共団体が行う行為

④ 興整備事業の施行として行う行為

また、その届出をした者が、その届出に係る一定の事項を変更しようとするときは、その行為に着手する日の30日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を被災関連市町村長に届け出なければなりません(法64条5項)。

 

(解説)

この法律は、東日本大震災からの復興を図るべき復興特別区域を定め、その対象区域において、復興特別区域基本方針、復興推進計画の認定及び特別の措置、復興整備計画の実施に係る特別の措置、復興交付金の交付等を定めることにより、東日本大震災からの復興に向けた取組みの推進を図ることを目的として定められています(施行・平成23年12月26日)。

同法施行に伴い、重要事項説明における「法令に基づく制限」として、上記の届出等に関する記載が追加されました。

 

 

59大規模災害からの復興に関する法律(3

7)

 

*法第28条4項・5項(届出対象区域内における建築等の届出)

同法では、復興計画の区域のうち復興整備事業の実施区域の全部または一部の区域を、市町村が「届出対象区域」として指定することができるとされていますが、その届出対象区域内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築または増築等を行おうとする者は、当該行為に着手する前に市町村長に届け出なければならず、また届出事項を変更しようとするときにも、その旨を当該市町村長に届け出なければならないこととされています。

 

(解説)

この法律は、東日本大震災の経験を踏まえ、大規模な災害を受けた地域の円滑かつ迅速な復興を図るため、その基本理念、政府による復興対策本部の設置及び復興基本方針の策定並びに復興のための特別の措置について定めることにより、大規模な災害からの復興に向けた取り組みの推進を図ることを目的としています。

同法では、被災した一定の市町村は、復興計画の区域のうち、復興整備事業の実施区域の全部または一部の地域を、「届出対象区域」として指定することができるものとし(第28条第1項)、その届出対象区域においては、復興整備事業の円滑な実施を図るため、土地の区画形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築または増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等を市町村長に届け出なければならないこととしています(同条第4項)。また、届出者が届け出に係る事項を変更しようとするときも、同じように届け出なければならないこととしています(同条第5項)。

これらの届出義務については、届出をしない場合に罰則が適用されるため、これを知らないで当該宅地または建物の購入等をした者は、不測の損害を被るおそれがあります。そこで、同法の施行(平成25年8月20日)に伴い、重要事項説明の「法令の制限」にこれが追加されました。

 

60原子力利用における安全対策の強化のため

の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関す

る法律(38)

 

*法第51条の29第1項

指定廃棄物埋設区域内においては、原子力規制委員会の許可を受けなければ、 土地を掘削してはなりません。

 

(解説)

東日本大震災の復興等を踏まえ、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)が改正され、原子力規制委員会が、廃棄物埋設の事業開始前に、当該事業に係る廃棄物埋設施設の敷地及びその周辺の区域並びにこれらの地下について一定の範囲を定めた立体的な区域を指定するものとするとされました(法51条の27第1項)。指定廃棄物埋設区域内では、土地の掘削が禁止され、土地を掘削しようとする者は、原子力規制委員会の許可を受けなければなりません。

 

61石綿(アスベスト)使用の有無の調査結果

 

【宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第3号】

宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令が、平成18年3月13日に公布され、同年4月24日から施行されたことにより、宅地建物取引業法35条1項14号に規定する国土交通省令に定める事項として「建物について石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容」について説明しなければなりません。これは建物の売買、交換、賃借のいずれの場合でも説明が義務付けられています。

 

(解説)

宅地建物取引業者には、石綿の使用の有無の調査の実施自体は義務付けられておりませんが、その調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければなりません。国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

  • 石綿の使用の有無の調査結果の記録が保存されているときは、その内容として
  1. 調査の実施機関
  2. 調査の範囲
  3. 調査の年月日
  4. 石綿の使用の有無およびその使用箇所

を説明しなければなりません。

  • ただし、調査結果の記録から上記①のうちいずれかが判明しない場合にあっては、売主等に補足情報の告知を求め、それでも判明しないときには、その旨を説明すれば足りるものとされています。
  • 調査結果の記録から容易に石綿の使用の有無が確認できる場合には、その調査結果の記録を別添することも差支えありません。
  • この説明義務は、売主および所有者にその調査の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合、管理業者および施行会社にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合またはその存在が判明しない場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになります。
  • 紛争防止の観点から、売主から提出された調査結果の記録を説明する場合は、売主等の責任の下に行なわれた調査であることを明らかにし、また建物全体を調査したものでない場合は、調査した範囲に限定があることを明らかにしなければなりません。

 

62建物の耐震診断の結果

 

【宅地建物取引業法施行規則16条の4の3第4号】

宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する省令が、平成18年3月13日に公布され、同年4月24日から試行されたことにより」、宅地建物取引業法35条1項14号に規定する国土交通省令に定める事項として「昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建物について、建築物の耐震改修の促進に関する法律4条2項3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が行なった耐震診断がある場合は、その内容」について説明しなければなりません。これは、建物の売買、交換、賃貸いずれの場合にも説明が義務付けられています。

この耐震診断結果の重要事項説明は、建築物の耐震基準が整備・強化された昭和56年6月1日以降に新築された建物については、その義務付けはありません。

 

(解説)

この説明項目は、平成17年10月成立の「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の一部改正法における国会の附帯決議、および、同年末に発覚した構造計算書偽装問題に対して関係閣僚会合においてとりまとめられた対応策を踏まえて重要事項説明の項目に加えられたものですが、宅地建物取引業者に耐震診断の実施自体が義務付けられているわけではありません。

建築基準法上の耐震基準が改正された昭和56年6月1日以前に新築工事が着工された建物については、指定確認検査機関、一級建築士、二級建築士、土木建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が耐震改修促進法4条1項に規定する基本方針のうち一定の技術上の指針となるべき事項に基づいて行なった耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明する必要があるとするものです。

国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

  • 昭和56年5月31日以前に新築工事に着工したというのは、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたという意味ですが、確認済証等がない場合もあるので、具体的には次のような基準で判断されます。

 

ケース確認資料建物の種類重要事項説明の

対象となるもの

原則確認済証(確認通知書)または検査済証に記載する確認済証交付年月日すべての建物昭和56年5月31日

以前のもの

確認済証・検査済証

のいずれもないとき

建物表題部の表示登記または家屋課税(補充)台帳の建築(新築)年月日居住の用に供する建物
(区分所有建物は除く)
昭和56年12月31日以前のもの
事業の用に供する建物
・区分所有建物の場合
昭和58年5月31日

以前のもの

 

  • この説明義務は、売主および所有者に耐震診断の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合および管理業者にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになります。
  • 耐震改修促進法4条1項に規定する基本方針のうち技術上の指針(平成17年改正前の耐震改修促進法3条に基づく特定建築物の耐震診断および耐震改修に関する指針を含みます)の一部または全部と同等以上の効力を有すると国土交通大臣が定める方法として次のものがあり、これらに基づく耐震診断も説明すべき耐震診断に該当します。
    • (財)日本建築防災協会による「木造住宅の耐震診断と補強方法」に定める「一般診断法」および「精密診断法」(時刻暦応答計算による方法を除きます)
    • (財)日本建築防災協会による「既存鉄骨造建築物の耐震診断指針」「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」および「既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」
    • (社)プレハブ建築協会による「木質系工業化住宅の耐震診断法」
    • (社)プレハブ建築協会による「鉄鋼系工業化住宅の耐震診断法」
    • (社)プレハブ建築協会による「コンクリート系工業化住宅の耐震診断法」
    • (財)日本建築防災協会による「既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断指針」
    • (財)日本建築防災協会による「既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法」
  • 耐震診断の結果について、次の書類を別添することとして差し支えありません。
  1. 住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し(当該家屋について平成13年国土交通省告示第1346号別表2-1の1-1耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価を受けたものに限ります)
  2. 地方税法施行規則7条の6の2第2項に規定する書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し)
  3. 租税特別措置法施行規則18条の4第2項、18条の21第1項、23条の6第3項2号に規定する書類(耐震基準適合証明書の写し、住宅の品質確保の促進等に関する法律5条1項に規定する住宅性能評価書の写し)
  4. 指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関、地方公共団体が作成した耐震診断結果評価書の写し

 

63宅地建物取引業法

 

【法35条1項13号(瑕疵担保責任の履行の確保に関する措置の説明)】

「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」の宅地建物取引業法改正部分が平成18年12月20日に施行されたのに伴い、宅地建物取引業法施行規則および「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(ガイドライン)」も改正され、同日施行されました。

宅地建物取引業者は、宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃貸の相手方等に対して、当該宅地または建物の売買等の契約が成立するまでの間に、当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則16条の4の2)で定める措置を講じるかどうか、および講じる場合におけるその措置の概要を取引士に説明させなければなりません。

 

(解説)

「国土交通省令で定める措置」は、当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する、次の契約の締結をいます。

  • 保証保険契約または責任保険契約の締結
  • 保証保険または責任保険を付保することを委託する契約
  • 責任履行の債務について銀行等が連帯して保証することを委託する契約

そして、国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

  • 「措置の概要」としては、少なくとも次に掲げる事項を説明することとされています。
  • 保証保険契約または責任保険契約にあっては、当該保険を行う機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 保証保険または責任保険の付保を委託する契約にあっては、当該保険の付保を委託する機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 保証委託契約にあっては、保証を行う機関の種類およびその名称または商号、保証債務の範囲、保証期間および保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 当該措置の概要として、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することとして差し支えありません。
  • 当該宅地または建物が宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前のものである等の事情により、重要事項説明の時点で瑕疵担保責任の履行に関する措置に係る契約の締結が完了していない場合にあっては、当該措置に係る契約を締結する予定であること及びその見込みの内容の概要について説明するものとされています。
  • この説明義務については、瑕疵担保責任の履行に関する措置を講じること自体を宅地建物取引業者に義務付けるものではありません。

 

【法37条1項11号(書面の交付)】

今回の改正により、宅地建物取引業者は、宅地または建物の売買または交換の相手方に対して、当該宅地または建物の売買等の契約が成立したときは、当該宅地もしくは建物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の内容を記載した書面を交付しなければなりません。

 

(解説)

国土交通省不動産業課の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」によれば、具体的には次のようになります。

  • この書面に記載すべき宅地建物の瑕疵担保責任または当該責任の履行に関して講ずべき措置の内容については、次に掲げる事項を定めるものとされます。
  • 瑕疵担保責任の内容について定めがあるときは、宅地建物の構造、部分、設備、仕上げ等についてその範囲、期間等の具体的内容
  • 瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証保険契約または責任保険契約について定めがあるときは、当該保険を行う機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証保険または責任保険の付保を委託する契約について定めがあるときは、当該保険の付保を受託する機関の名称または商号、保険期間、保険金額および保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 瑕疵担保責任の履行に関する措置のうち保証委託契約について定めがあるときは、保証を行う機関の種類およびその名称または商号、保証債務の範囲、保証期間および保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 瑕疵担保責任の履行に関する措置の内容については、当該措置に係る契約の締結等に関する書類を別添することとして差し支えありません。

 

【法47条1号(業務に関する禁止事項)】

宅地建物取引業者は、宅地もしくは建物の売買、交換もしくは賃借の契約の締結について勧誘するに際し、またはその契約の申込みの撤回もしくは解除もしくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、上記法35条1項各号に掲げる事項や、取引条件または当該宅地建物取引業者もしくは取引関係者の視力もしくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの等の一定の事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げてはなりません。

 

(解説)

本号中、「宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため」とは、例えば、当該目的物に対する隠れた瑕疵が発覚した場合や、契約の目的物となる宅地または建物に関連して宅地建物取引業者に不法行為が発生した場合の修補の請求や損害賠償の請求の権利の行使を妨げることを目的として行う場合が該当する。

また、当該条項違反は、行政処分の対象となるほか、直接罰則の対象とされている。そして、今回の改正で、宅地建物取引業者の違反の状況や他法令との均衡等を考慮して、当該条項違反について、懲役刑および罰金刑が強化されている。

法人の代表者または法人の代理人、使用人その他の従業者が、違反した場合は、その法人に対して1億円以下の罰金刑を科すこととされています。

 

64瑕疵担保責任の履行に関する措置について

  1. 取引の対象となる宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し、保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要については、宅地建物取引業法第35条第13号にて、重要事項としての説明を求められています。国土交通省令で定めるものとは、宅地建物取引業法規則第16条の4の2で以下のとおり定められています。
  • 当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する保証保険契約または責任保険契約の締結
  • 当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する保証保険または責任保険を付保することを委託する契約の締結
  • 当該宅地または建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関する債務について銀行等が連帯して保証することを委託する契約の締結
  • 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 (平成19年法律第66号)第11条第1項 に規定する住宅販売瑕疵担保保証金の供託

 

  1. 上記の①から④について、具体的にどのような説明を行うべきかについては、国土交通省作成の、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にて、以下のとおり示されています。

 

(上記①から③について)

  • 保証保険契約または責任保険契約にあっては、当該保険を行う機関の名称または商号、保険期間、保険金額及び保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 保証保険または責任保険の付保を委託する契約にあっては、当該保険の付保を受託する機関の名称または商号、保険期間、保険金額及び保険の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲
  • 保証委託契約にあっては、保証を行う機関の種類及びその名称または商号、保証債務の範囲、保証期間及び保証の対象となる宅地建物の瑕疵の範囲

具体例として、新築住宅の売主Aが当該住宅を機関Bに登録し、機関Bが当該登録に基づいて、売主Aの瑕疵担保責任に関する責任保険の付保を行う場合には、機関Bへの登録に基づき機関Bが売主Aの瑕疵担保責任に関する責任保険の付保を行う旨、保険期間、保険金額及び保険の対象となる瑕疵の範囲を説明することとなります。

当該措置の概要として、当該措置にかかる契約の締結等に関する書面を別添することとして差し支えありません。

当該宅地または建物が宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前のものである等の事情により、重要事項の説明の時点で瑕疵担保責任の履行に関する措置に係る契約の締結が完了していない場合にあっては、当該措置にかかる契約を締結する予定であること及びその見込みの内容の概要について説明するものとなります。

 

(上記④について)

  • 住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする供託所の表示及び所在地
  • 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令第6条第1項の販売新築住宅については、同項の書面に記載された2以上の宅地建物取引業者それぞれの販売瑕疵負担割合(同項に規定する販売瑕疵負担割合をいう)の合計に対する当該宅地建物取引業者の販売瑕疵負担金の割合

65〈参考〉借地借家法

土地の利用権には、大きく分けて、建物の所有を目的とするもの(一般に借地権)と、建物の所有以外を目的とするもの(通路・駐車場等に利用)とがあります。建物の所有以外を目的とする土地利用権には、民法の規定が適用されます。建物の所有を目的とする土地利用権には、民法の他に特別法としての借地借家法(旧借地法を含みます)が適用されます。

建物の所有を目的とする土地利用権(以下では単に「借地権」といいます)は、平成4年8月1日に借地借家法(いわゆる新法)が施行されてから、その種類が増えることとなりました。新法の施行前から設定されていた借地権は、多くの事項について旧借地法(旧法)が適用されます。

借地権は、大別して、地上権と賃借権があります。この点は、新法も旧法も同じです。

地上権は、その法的性質が物権であるため、譲渡、転貸、抵当権の設定などに地主の承諾を必要としません。

これに対して、賃借権は、法的性質が債権であるため、譲渡、転貸などには地主の承諾が必要です。

建物の利用権は借家権と呼ばれており、民法の他借地借家法が適用され、また、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法が平成12年3月1日に施行され、借地借家法の借家部分に定期建物賃貸借(いわゆる定期借家権)が創設されました。

また、高齢者の居住の安定確保に関する法律が平成13年8月5日に施行され、高齢者を賃借人とする終身建物賃貸借契約が一定の要件の下に認められることとなりました。

そのため、重要事項説明に際しては、普通の借家権・期限付建物賃借権・定期借家権・終身建物賃借権の区別が必要となります。

 

  1. 借地権の種類と特徴

借地権は、旧法上のものと新法によるものとに区別されます。その種類と内容は次のとおりです。

  • 既存の借地権(平成4年7月末に既に存在していた借地権)

借地期間満了時に貸主に正当な事由がなければ、契約の更新を拒絶できません。借地期間は次のとおりです。

  • 堅固造の建物の所有目的の場合・・・期間を定めない場合は自動的に60年

期間を定める場合は30年以上

(更新後の期間)・・・合意で定めるなら30年以上

法定更新は30年

  • 非堅固造の建物の所有目的の場合・・・期間を定めない場合は自動的に30年

期間を定める場合は20年以上

(更新後の期間)・・・合意で定めるなら20年以上

法定更新は20年

 

  • 普通借地権

堅固、非堅固の区別なく、契約期間は30年以上とされています。契約期間を定めない場合は、自動的に30年となります。

借地期間満了時に地上に建物が存在している場合には、貸主に正当な事由がなければ、契約の更新を拒絶できません。

更新後の期間は、初回に限り20年以上、その後は10年以上になります。

 

  • 定期借地権(いわゆる一般定期借地権)

新法によって創設された借地権の1つです。借地期間は50年以上です。これより短くすることはできません。

借主に契約更新権はありません。

契約は公正証書によるなど、書面によることとなっています。

 

  • 建物譲渡特約付借地権

新法によって創設された借地権の1つです。借地期間は30年以上です。契約時に、30年以降の約定の時期に、建物を相当の対価で地主に譲渡する特約をする借地契約です。

建物の譲渡により、土地の建物の所有者が同一となり、借地権が消滅し、借地契約が終了するのです。

地上建物の利用者(入居者または借地人)は、その後、建物の賃借人として新法23条2項の保護があります。

 

  • 事業用借地権

新法によって創設された借地権の1つです。専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除きます)の所有を目的とします。

期間は10年以上50年未満です。

これらの条件を満たさないものは、自動的に普通借地権になります。

契約は必ず公正証書によります。公正証書作成時が契約の成立時とされます。したがって、いわゆる契約書は、この公正証書になります。

 

  • 一時使用目的賃借権

臨時設備の設置その他一時使用のための賃貸借を設定する場合等、一時使用を目的とする賃貸借をいいます。

旧法や新法の借地権保護規定の多くのものの適用がないものです。

なお、借地権は登記できますが、登記がない場合は、土地上に借地権者が登記された建物を所有するときは、第三者に対して借地権を対抗することができます。

また、借地上の建物が滅失した場合でも、土地上に一定の掲示をし、2年以内に再築して登記をしたときは、借地権者は第三者に対抗できます。

 

  1. 借家権の種類

定期借家制度が創設される以前は、民法および借地借家法によって認められる普通借家権と期限付借家権(不在期間中の借家権と建物取壊し予定の借家権)が存在しましたが、定期借家制度の施行後は、不在期間中の借家権が定期借家に変化しました。それぞれの概要は次のとおりです。

 

  • 普通借家

契約期間が1年以上の期間の定めのある借家と、期間の定めのない借家とがあります。

  • 期間の定めのある借家

契約期間が1年以上の定めがある借家契約で、期間満了時に借主は更新請求ができ、貸主は正当事由がないと更新拒絶できません。

  • 期間の定めのない借家

期間をそもそも定めないか、1年未満の定めをしたために定めのないものとみなされたか、上記①の借家が期間満了時に合意更新できず、法定更新した場合の借家です。

これには、期間満了という概念はないので、借主はいつでも自由に解約の申し入れをすることができ、申し入れから3か月後に借家契約が終了します。

他方、貸主が解約申し入れをするには正当事由が必要であり、それがないと解約申し入れはできません。正当事由が存在した場合には、解約申し入れから6か月後に借家契約が終了します。

  • 確定期限付借家契約など

旧法上、貸主が転勤、療養等で、一定期間自己の建物を生活の本拠として使用することが困難な場合に、その間だけ借家することを認めるもの(不在期間中の借家)と、建物が法律や契約により将来、取壊しが予定されている場合に、取壊しまでの間借家を認め、取壊し時期に契約が終了する借家(取壊し予定の建物の借家)とがありましたが、定期借家制度ができたことにより、前者は定期借家に解消されることになりました。

  • 定期借家

「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が平成12年3月1日に施行されたことにより、借地借家法の期限付建物賃貸借が改正され、更新をしない借家契約が創設されました。

契約期間の定めは長短自由で(1年未満でも可)、建物の種類(居住・非居住)の区別もなく、契約を更新しない特約を付したものです。

ただし、次の要件を満たすことが必要です。

  • 契約締結前に、貸主が借主に対し、更新ができない定期借家である旨を記載した書面を交付して説明すること(これを怠ると、更新しない特約部分が無効となります)
  • 契約は必ず公正証書等の書面によること
  • 契約期間が1年以上の場合には、貸主は、借主に対し、契約期間の満了の1年前から6か月前までの間に、期間満了により契約が終了する旨を通知しなければなりません。これを怠ると、契約終了を借主に主張できません。また、期間経過後に通知した場合は、通知後6か月は借主に契約終了を主張できません。

 

(小規模住居用建物の定期借家の解約の特則)

契約期間の定めのある契約は、本来、特約で期間内解約の権利を付与しないと一方的に契約を解約するということはできません。これは定期借家の場合も同じです。しかし、小規模(床面積200平方メートル未満)の居住用建物の定期借家の場合に限り、期間内解約の特約を入れていない場合でも、借主が転勤、療養、親族の介護等やむを得ない事情で、その建物を自己の生活の本拠に利用することができない場合には、借主において解約を申し出ることができるという特則があります。

その場合の解約申し出による契約の終了は、1か月後です。

  • 終身建物賃貸借契約

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が平成13年8月5日施行されたことに伴い創設された制度です。高齢者の単身・夫婦世帯等が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みとして、高齢者(満60歳以上)または高齢者とともに同居する配偶者(60歳未満の配偶者であっても可、または60歳以上の親族)を賃借人として、その賃借人の終身にわたり住宅を賃貸する事業を行おうとする貸主(終身賃貸事業者)は、当該事業について知事等の認可を受けた場合には、賃借人が死亡した場合に契約が終了する賃貸借契約(借家権の相続権がない一代限りの賃貸借契約、すなわち終身賃貸借契約)を行うことができます。

また、賃借人である高齢者からの申し出により、一定の期間を定めその期間の満了により、またはその間に高齢者が死亡すれば契約が終了する借家契約(期限付死亡時終了賃貸借契約)を行うこともできます。

ただし、同居者(配偶者または高齢者である親族)がいる賃借人である高齢者本人が死亡した場合に、本人死亡後1か月以内に同居者が申し出れば、その同居者は借家を継続できます。

この事業の認可をするには、建物の構造がバリアフリー等加齢対応構造であり、賃貸条件が規準に達し、公正証書などの書面による契約であることなどが必要です。

 

66〈参考〉建物の区分所有等に関する法律

マンションのような建物は、外観上は一棟の建物ですが、内部は独立した数個の住居、店舗、事務所等の部屋と、入居者が共同利用している玄関、廊下等の部分から成り立っています。

前者は、各入居者がそれぞれ所有権をもつ「専有部分」と呼ばれ、後者は、入居者が共有して共同利用する「共用部分」と呼ばれます。ここでは、一棟の建物を単独で所有し利用する場合と異なり、一定のルールに従った利用・管理ならびに負担が必要になります。

そのルールを定めた法律が「建物の区分所有等に関する法律」です。この法律には、権利や管理等について次のように定められています。

 

  1. 専有部分と共用部分

「専有部分」とは、各部屋のことをいい、それぞれ独立した所有権の対象となり(一棟の建物の中で区分された所有権であることから区分所有権といいます)、また、独立した登記の対象となります。

「共用部分」とは、「専有部分以外の建物の部分」、「専有部分に属しない建物の附属物」および「規約により共用部分とされた建物の部分および附属の建物」をいい、一般的には、共用の玄関・廊下・階段室・エレベーター・屋上・屋外階段・内外壁・柱等がこれにあたります。この部分は原則として登記の対象とはなりません。

共用部分は、区分所有者全員の共有となり、各共有者の共有持ち分は原則として、その有する専有部分の床面積の割合によります。

 

  1. 専有部分の登記面積

専有部分の登記される面積は、不動産登記法により、当該部分の壁の内側部分で計算された面積によって表示されますので、契約時にパンフレット等に表示された部屋(専有部分)の面積(これは当該部屋の壁の中心より計算されます)より多少小さくなりますので、説明の際に注意してください。

 

  1. 専用使用権

区分所有者は、本来、全員が共用部分および敷地を用法に従って使用することができますが、各区分所有者の合意により共用部分または敷地を特定の者に専用使用させる場合があります。この利用は、一般に「専用使用権」といわれるもので、専用使用権が設定される場所としては、ベランダ、バルコニー、駐車場、倉庫(トランクルーム)、専用庭等があります。この専用使用権が設定されると、その専用使用を認められた者だけが利用できることになります。この専用使用権の設定にあたり、対価の負担が生じることがあります。

 

  1. 区分所有建物の管理

マンションの共用部分と敷地の管理は、区分所有者全員で組織する管理組合が行います。この管理は、管理組合が自ら管理業務を行う自主管理が建前ですが、管理の煩雑さ、電気室・エレベーター等の管理は専門的技術が要求される等のことから、組合業務のうち一部あるいは全部を管理会社に委託している場合が多いです。

 

  1. 規約

建物または敷地、附属施設の管理、または使用に関する区分所有者相互間の事項は、基本的には区分所有法に規定がありますが、その他の事項につき規約で定めることができます。この規約は、管理組合の集会において、マンションの区分所有者(頭数および議決権)の4分の3以上の決議により設定、変更したりできます。しかも、この規約は、区分所有者の特定承継人(売買により部屋の所有権を取得した者)に対しても効力を有します。

なお、規約で定めることのできる事項には、共用部分の利用関係・共用部分・変更・管理、規約の設定・廃止、監理者の選任等があります。

 

  1. 管理費

管理費は、マンションの共用部分や敷地を維持管理していくために必要な費用で、共用部分や敷地の共有者である区分所有者等が当然これを負担します。

負担割合は、原則として、各区分所有者の共有持ち分割合で決められますが、規約で別に定めることもできます。

 

  1. 計画修繕積立金、大規模修繕積立金

マンションは年月が経つにつれて、いろいろな補修や大修繕をしなければならなくなります。階段の蛍光灯取り替えなどの小修繕は上記6の管理費の中に計上されていますが、大修繕については、突然そのときに各区分所有者に負担を求めると過重負担となることが考えられるので、事前に計画的に管理費とは別にその修繕費を積み立てておくのが適当です。これを一般に「計画修繕積立金」とか「大規模修繕積立金」といいます。

 

  1. 区分所有者等の義務

各区分所有者または建物賃借人は、建物の保存に有害な行為、その他建物の管理または使用に関し他の区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません。

 

  1. 敷地利用権等

マンションは、敷地の上に一棟の建物が建っており、建物の区分所有者は、常に敷地を利用する必要があります。この敷地を利用する権利のことを「敷地利用権」といいます。そして、区分所有法では、原則として、建物の区分所有権と敷地利用権を一体不可分の関係として、建物の区分所有権と敷地利用権を切り離して処分することを禁止しています。

この敷地利用権には、所有権、地上権、賃借権、使用借権等の態様がありますが、一般的には所有権のときは全員で共有し、借地権(賃借権、地上権)のときは全員で準共有するという形態になります。これらの敷地利用権につき、「登記した権利であって建物、または附属建物と分離して処分することができないもの」を不動産登記法上「敷地権」といいます。

そして、この「敷地権」の登記がなされると、専有部分と敷地利用権の両者一体的に生ずる権利変動に関する登記は、専有部分の登記用紙にのみ登記し、この登記がなされると敷地利用権についても同様の登記がなされたものとみなし、土地登記簿への登記を省略することができます。

 

  1. 建物の区分所有等に関する法律の一部改正
  • 共用部分の変更決議要件の緩和

形状の変更または効用の著しい変更を伴わないもの(大規模修繕、管理行為として行う外壁の補修など)は、区分所有者および決議権の各4分の3以上から各2分の1以上の決議で可能となりました。

  • 管理者および管理組合法人の代理権・当事者適格の拡張
  • 管理者および管理組合法人は、共用部分および共用である建物の敷地や附属施設について生じた損害賠償金・不当利得返還金の請求や受領に関し、区分所有者の代理人となることができます。
  • 管理規約や集会の決議により、①の請求や受領に関し、区分所有者の訴訟の原告や被告となることができます。
  • 管理組合法人化の要件緩和

管理組合法人化に必要とされた、区分所有者(組合員数)30人以上という人数要件が撤廃されました。

  • 管理規約・議事録等および集会・決議の電子化
  • 管理規約・議事録などの関係書類が電磁的記録で作成できることになりました。
  • 管理規約や集会の決議により、電磁的方法による決議をすることができます。
  • 区分所有者全員の承諾があるときは、書面または電磁的方法による決議をすることができます。
  • 復旧決議の買取指定者・買取請求権の行使期間
  • 復旧決議に伴い、決議に反対した組合員が有する建物および敷地に関する権利の買取請求権の相手方を、決議に賛成した者全員の同意により指定することができます。
  • 復旧決議後、集会の招集者(または買取指定者)が、買取請求ができる者に対し4か月以上の期間を定めて買取を催告したにもかかわらず、その期間内に買取請求がなされない場合には、買取請求権を行使できなくなります。
  • 建替え決議の要件緩和と招集通知
  • 区分所有者および議決権の各5分の4以上の決議で、建物を取り壊し、かつ、その敷地の一部もしくは全部、または、その敷地の一部または全部を含む土地に新しい建物を建てることができます。
  • 建替え決議の集会を開催するには、2か月前までに集会の招集通知を行い、通知書には議案の要領、建替え理由など、または修繕計画の内容、修繕積立金額などの情報を明らかにし、1か月前までに説明会を開催する必要があります。

 

  • 団地内建物の一括建替え決議

複数のマンションが存在する団地内で、その敷地が団地マンションの共有である場合、各棟ごとの区分所有者および決議権の各3分の2以上、全棟で各5分の4以上の決議で、団地内マンションの全ての建物の一括建替えが可能となりました。

 

67〈参考〉マンションの管理の適正化の推進

に関する法律

近年の土地利用の高度化の進展等に伴い、都市における持ち家住宅として定着した分譲マンションは、そのストックが約400万戸に達し、約1000万人が居住するなど、国民の生活向上へその重要性が増しています。

マンションにおける快適な居住の実現と良質な住宅ストックとしての維持保全にあたっては、その管理が適切に行われることが必要ですが、マンションの管理にあたる管理組合は必ずしも管理業務に精通していないこと、管理組合と業務を受託している管理業者との間で契約内容や金銭処理等に関しトラブルが起こる例があること、マンションの管理に関する専門知識をもった人材や相談体制が不十分であること等の問題がありました。

このような状況に鑑み、マンション管理士および管理業務主任者の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実現する等マンション管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、この法律が制定されました。

この法律では、マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならないこととされ、その登録の有効期間は5年とされています。

また、マンション管理業者に対して一定の業務規制が行われます。その主なものは、①管理受託契約締結時における事前の重要事項説明、②管理受託契約成立時における書面の交付、③修繕積立金等の分別管理、④定期の管理業務の報告などの一定の情報開示です。

なお、自ら売り主として居住用の区分建物を新規に分譲した宅地建物取引業者は、1年以内に管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに当該管理者等に対し、当該建物および附属施設の設計図書で国土交通省の定めるものを交付しなければなりません。

 

68〈参考〉宅地建物取引業におけるクーリン

グ・オフ制度

クーリング・オフ制度とは、不動産の売買について、売り主が宅地建物取引業者であって、その事務所等以外の場所で買い主が購入の申込みや契約を締結した場合、8日以内にその撤回や解除をすることができるという制度です。

ただし、次のような場合には、この制度は適用されません。

  • 売り主が宅地建物取引業者でない場合
  • 売り主の事務所で申込みや契約締結をした場合
  • 事務所以外の場所で、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、申込みや契約を締結した場合(取引士を置くべきものに限ります)
  • 10区画以上の一段の宅地または10戸以上の建物の分譲を行う場合の案内所・モデルハウス・モデルルーム等で、申込みや契約締結をした場合(土地に定着する建物内のもので取引士を置くべきものに限ります)
  • 代理または媒介を行う宅地建物取引業者の上記②③④の場所で申込みや契約締結をした場合
  • 取引士を置かなければならない事務所等で説明をしたあと、抽選会場(土地に定着する建物内のものに限ります)で契約を締結した場合
  • 事務所等で買受けの申込みをし、事務所以外の場所で契約を締結した場合
  • 買い主の自宅または勤務する場所で、申込みや契約締結した場合
  • 申込みや契約の撤回ができる旨を告げられた日から8日を経過した場合
  • 当該宅地または建物の引渡を受け、かつ、代金の全部を支払ったとき
  • 宅地建物取引業者同士の取引である場合

なお、この場合の売り主からの撤回または解除ができる旨の告知および買い主からの撤回または解除の通知は、いずれも書面をもって行うこととされています。買い主の撤回または解除は、その書面を発信したときに効果が生じます。

 

69〈参考〉建物状況調査(インスペクショ

ン)

宅建業法の平成28年改正によって、建物の売買・交換および賃貸に関して、取得しまたは借りようとしている建物が既存の建物であるときには、重要事項説明において説明するべき事項として、建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要が追加されました(同法第35条第1項第6号の2。施行:平成30年4月1日)。

建物状況調査とは、既存住宅について、目視、計測等によって、基礎、外壁等の部位毎に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の有無を調べる調査です。国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が実施します(講習を修了していない建築士や検査事業者が実施する調査は、宅地建物取引業法に基づく建物状況調査には当たらない)。調査者は調査当日、有資格者であることを証明できるもの(カード型の修了証等)を携帯することになっています。提示を依頼することで有資格者かどうかを確認することができます。

建物状況調査の対象となるのは既存の住宅です。既存の住宅とは、①人の居住の用に供した住宅、又は②建設工事の完了の日から1年を経過した住宅、のいずれかに該当するものをいいます。戸建て住宅、共同住宅(マンションやアパート等)共に対象となります。賃貸住宅も対象です。店舗や事務所は建物状況調査の対象ではありません。

建物状況調査の対象となる住宅は、人の居住の用に供する家屋に該当するものです。住宅に該当するかどうかは、不動産登記上の用途ではなく、使用の実態に基づいて判定されます。

店舗併用住宅の場合、住宅部分(店舗部分との共用部分を含む)が基本的な建物状況調査の対象です。非居住用部分と共用の玄関や通路なども住宅となります。空き家については、除却することが確定しているなど将来的にも居住の用に供される見込みのないものは住宅に該当しません。

既存住宅を売買する場合に、必ず建物状況調査を実施しなければならないものではありませんが、建物状況調査を行うことで、調査時点における住宅の状況を把握した上で、売買等の取引を行うことができ、取引後のトラブルの発生を抑制することができ、また、既存住宅購入後に建物状況調査の結果を参考にリフォームやメンテナンス等を行うことができるとされています。住宅瑕疵担保責任保険法人の登録を受けた検査事業者の検査人が建物状況調査を実施し、建物状況調査の結果、劣化・不具合等が無いなど一定の条件を満たす場合には、既存住宅売買瑕疵保険に加入することができます(既存住宅売買瑕疵保険に加入するための検査の有効期限は1年)。

建物状況調査の実施には費用がかかります。建物状況調査の費用については、基準の設定はなく、各調査実施者により費用は異なるので、建物状況調査に要する費用については、各調査実施者に問い合わせる必要があります。費用負担は、建物状況調査の依頼者(売主、購入希望者など)が負担するのが一般的と考えられます。

現に居住中の住宅であっても、建物状況調査を実施することは可能です。

購入希望の既存住宅について建物状況調査を実施する場合には、あらかじめ売主

の承諾を得る必要があります。複数の物件について建物状況調査を実施することを希望する場合には、それぞれの物件について、建物状況調査を実施することもできます。

建物状況調査を依頼した場合に準備する資料としては、調査対象住宅の設計図書、耐震性に関する書類(新築時の確認済証、住宅性能評価書等)等が考えられます。また、共同住宅の場合は、これらの書類に加え、管理規約、長期修繕計画の写し等の書類について、管理組合に請求して準備をする必要がある場合もあります。

建物状況調査結果の有効期限はありませんが、時間の経過とともに建物の現況と調査結果との間に乖離が生じることが考えられます。国土交通省令において、重要事項説明の対象となる建物状況調査は、調査を実施してから1年以内のものとされています(宅地建物取引業法施行規則第16条の2の2)。

 

70〈参考〉解除について

  1. 手付解除

売主および買主はいずれからでも、相手方が契約の履行に着手していない段階であれば、次の方法により、随時契約を解除することができます。

  • 売主が解除する場合は、売主は買主に対し、既に受領した手付金の倍額を支払って、解除の通知をする。
  • 買主が解除する場合は、買主は売主に対し、既に支払った手付金を放棄して解除の通知をする。

なお、相手方が契約の履行に着手したか否か判断が難しいため、契約締結日から一定期日を定め、その日までに限り手付解除を認める合意をすることもあります。

この場合でも、この日の前に相手方が契約の履行に着手したら、もはや手付解除はできません。こうした合意は、売主が宅建業者の場合には認められません。

 

  1. 融資利用の特約による解除

買主が代金の支払を融資を受けて行なうことが予定されている場合に、その融資が得られなければ買主は解除することができるとする特約が融資利用の特約による解除です。この解除は、予定された融資が予定された時期までに融資の見込みがたたない場合に、買主が定められた解除期間内に解除権を行使して行います。

解除すると、売主は受領済みの金員(手付金、中間金など)を全額買主に返還しなければなりません。

 

  1. 契約違反の場合の解除

売主または買主が売買契約で定めた義務を履行しない場合には、相手方はその履行を催告のうえ(履行が不可能な場合は催告不要)、それでもなお履行がされない場合には、一方的にその売買契約を解除することができます。

その場合、解除した者は履行をしなかった者に対して、損害賠償の請求をすることができます。この損害賠償の範囲は実損害が原則ですが、売買契約において「損害賠償額の定め」をしていた場合には、実損害が「損害賠償額の定め」を超える場合でも、また、それより少ない場合でも実損害にかかわらず、「損害賠償額の予定」に従った額だけしか請求できません。

なお、売主が宅地建物取引業者であるときは、宅建業法により、「損害賠償額の定め」の額と「違約金」の額の合計が売買代金の20%以下でなければなりません。

 

  1. 引渡前の滅失等の場合の解除

売買対象不動産が、その引渡前に売主・買主のいずれの責めにもよらない事由(天変地異等)で、滅失または毀損した場合、民法上の原則は、買主がそのリスクを負担することとなっています(危険負担の債権者主義といいます)。

しかし、これを徹底するのは合理性に欠けるとの考え方から、実務では、双方から契約を解除することができるとの特約をすることがあります。

この場合には、解除により売主は、受領済みの金員全額を買主に返還しなければなりません。

 

  1. 譲渡承諾の特約による解除

賃借権である借地権を第三者に譲渡するには、地主の承諾が必要です。無断で譲渡すれば、借地契約の解除事由とされています。

そこで、この借地人がこの借地権を第三者に譲渡する契約を行う場合に、一定期日までに地主の承諾が得られなければ、この譲渡契約を解除するとする特約をすることがあります。

この解除がされた場合には、譲渡人である借地人は、受領済みの金員を全額譲受人に返還しなければなりません。

 

  1. 割賦販売の場合の解除

宅地建物取引業者が自ら売主となって行なう割賦販売契約(代金の支払が、対象不動産の引渡後1年以上の期間にわたり行なわれ、かつ、2回以上に分割される契約)について、買主が割賦金の支払を怠った場合には、売主は、上記3のような通常の契約違反による解除はできず、必ず、買主に対し書面による催告をし(この催告期間は30日以上としなければなりません)、その期間内に支払がされないときにはじめて、買主の支払遅滞を理由とする契約解除が認められます。

これに反する特約は無効です。

 

  1. 買換え特約による解除

買主が、売主からある物件を購入するにあたり、買主が現在住んでいる住居を第三者に一定期間内に売却できることを条件とした場合に、その期間内に現在の住居を売却できなかったときには、買主は、売主との物件の購入(売買)契約を解除できるとの特約が買換え特約による解除です。

これにより解除した場合、売主は、受領済みの金員を全額買主に返還しなければなりません。

 

71〈参考〉住宅の品質確保の促進等に関する

法律・特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関す

る法律

  1. 住宅の品質確保の促進等に関する法律

新築住宅の品質向上を目的に平成12年4月1日に施行された法律です。新築住宅の請負や売買にあたり、(1)住宅の性能表示制度の導入、(2)性能表示された住宅に関する紛争が発生した場合に、早期解決を図るための裁判外紛争処理機関(指定紛争処理機関)の設置、(3)住宅の瑕疵担保制度の充実が図られています。また、平成14年8月20日から、既存住宅についても、性能表示制度が実施されることになりました。

 

  • 住宅の性能表示制度

住宅に関して、構造の安定、火災時の安全、劣化の軽減、維持管理への配慮、温熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、高齢者等への配慮の9項目(既存住宅については6項目)にわたる日本住宅性能表示基準を策定し、指定住宅性能評価機関が住宅性能評価を行い、その結果をもとに住宅性能評価書を作成し、当該住宅のもつ客観的性能をわかりやすくする制度を創設されました。

新築住宅については、平成12年10月1日から実施していますが、契約目的物である住宅にこの制度を導入するか否かは、当事者の任意とされています。

住宅性能評価書を、売買契約にあたり交付されたり、売買契約書に添付された場合には、当事者間でこの性能評価の内容を契約内容としない旨の明示がない限り、住宅性能評価書に記載された性能内容は、契約内容として合意したものとみなされます(法6条2項~4項)。

この住宅性能評価書には、設計された住宅に係わるもの(設計住宅性能評価書)と、建設された住宅に係わるもの(建設住宅性能評価書)があります。後者の交付にあたっては、前者に表示された住宅性能が発揮されるように中間検査および完了検査を実施します。なお、既存住宅の場合は建設住宅性能評価書のみです。

 

  • 裁判外紛争処理機関

性能表示(建設住宅性能評価に限ります)を導入された住宅に関し、紛争が生じた場合、裁判による解決では長期化が予想されるため、裁判外紛争処理機関(指定紛争処理機関)において、あっせん・調停等を行うことを認め、早期・迅速な解決をしようとするものです。

平成12年10月1日から、全国の弁護士会がこの指定紛争処理機関として指定を受け、弁護士と建築士等が委員となって、あっせん・調停を行っています。

 

  • 瑕疵担保制度の充実

売買の目的物に隠れた瑕疵が存在した場合に売主が買主に対し負担すべき瑕疵担保責任の行使期間は、目的物が新築か否かにかかわらず、また、瑕疵の生じた部分のいかんにかかわらず、原則として買主が瑕疵の存在を知ったときから1年以内です。ただし、当事者の特約で、この期間を変更することは認められていました。この変更特約について、売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合には、宅建業法で「引渡から2年以上」とすることが認められていたこともあり、実務上のこの期間に関する特約は「引渡後2年」程度というものが多く見られました。新築住宅の売買の場合、本法により、強制的にこの期間を目的物の引渡から10年以上とすることにしました(ただし、新築住宅の主要構造部分に限ります)。

また、担保責任の内容として売主に補修責任も認められました。新築の請負契約においても、本来、民法上住宅の構造によって、請負人の担保責任の期間は、引渡後5年または10年となっていましたが、本法により住宅の構造にかかわらず、引渡後10年以上となりました(ただし、新築住宅の主要構造部分に限ります)。

 

  1. 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律

この法律は、国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である住宅の備えるべき安全性その他の品質または性能を確保するため、住宅の瑕疵の発生の防止上重要であるとの認識の下、新築住宅の購入者等を保護する目的の法律で、平成20年4月1日に施行されました。

概要としては、(1)建設業者による住宅建設瑕疵担保保証金の供託、(2)宅地建物取引業者による住宅販売瑕疵担保保証金の供託、(3)住宅瑕疵担保責任保険法人の指定及び住宅瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅に関する紛争の処理体制等について定められています。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成十一年法律第八十一号)と相まって、住宅を新築する建設工事の発注者及び新築住宅の買主の利益の保護に寄与することを目的としています。

なお、下記の資力確保措置の義務付けの履行については、平成21年10月1日の施行です。

 

  • 資力確保措置の義務付け

新築住宅の建設を請け負う建設業者、売主として新築住宅の販売を行う宅地建物取引業者は、一般消費者に対する特定住宅瑕疵担保(住宅建設瑕疵担保、住宅販売瑕疵担保)責任の履行の確保のために、資力確保の方法を行う必要があります。

 

  • 資力確保の方法

資力確保の方法として、次のいずれかを行う必要があります。

  • 保証金の供託
  • 保険契約の締結(住宅瑕疵担保責任保険法人との契約)

 

保証金額(保険額)・・・各基準日(毎年3月31日および9月30日)において、基準日前過去10年間に引き渡した新築住宅の合計戸数に応じた額(算定額は、施行令別表に従った金額)の保証金の供託か保険契約の締結によります。

 

届出義務・・・保証金の供託または保険契約の締結後、これらの状況について、基準日から50日以内に届け出なければ、新たな新築住宅の売買契約の締結が禁止されます。

 

72〈参考〉消費税法

消費税は、土地の譲渡、貸付については非課税ですが、建物の譲渡、賃貸、土地または建物の売買の媒介等ならびに不動産の管理については課税されます。

ただし、建物の賃貸の場合でも居住用住宅については非課税です。居住用かどうかは、賃貸借契約の内容によります。例えば、貸別荘は居住用に該当しません。

なお、平成16年4月1日から消費税を含む価額の総額表示が義務付けられました。価額を表示する際は、必ず本体価額と消費税の合計額を表示するようにしてください。

 

73〈参考〉短期賃貸借保護制度の廃止〔担保

物件および民事執行制度の改善のための民法等の一

部を改正する法律〕

平成15年7月25日、短期賃貸借制度の廃止等が規定された「担保物件および民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」(平成15年法律第134号)が成立し、同年8月1日公布、平成16年4月1日に施行されました。

この法律は、不良債権の処理に際して、不動産競売における執行妨害を排除するための諸制度を改善することを目的として制定されたものです。

 

【改正法の主な内容】

  • 抵当権設定登記後の賃貸借は、その期間の長短、期間の定めの有無にかかわらず、抵当権者および競売による買受人に対抗することができなくなります。
  • 抵当権設定後の建物賃貸借であっても、競売手続の開始前から存した建物賃借人は、買受人が建物を買い受けたときから6か月間、建物の明け渡しを猶予されます(民法395条1項)。
  • 買受人が買い受けた後に、建物賃借人がその間の建物使用料を支払わない場合は、買受人は建物賃借人に対し、相当の期間を定めて1か月以上の建物使用料の支払を催告し、建物賃借人が同期間内に支払わなければ、上記②の明渡猶予期間は認められません(民法395条2項)。
  • 抵当権設定後の賃貸借であっても、賃貸借の登記がなされ、かつ、その登記前に登記されたすべての抵当権者が同意し、その同意が登記されたときは、当該抵当権者および競売よる買受人に対抗することができます(民法387条)。
  • 本改正法施行時に、現に存する短期賃貸借については、従前どおりの内容による短期賃貸借制度が適用されます(法附則5項)。

土地の賃貸借は、明渡猶予制度の対象とはなりませんが、期間5年以内の土地の賃貸借で平成16年3月31日以前から存したものについては、同年4月1日以降に契約更新した場合も含めて、引き続き短期賃貸借制度が適用されます。

 

74〈参考〉消費生活用製品安全法の改正(長

期使用製品安全点検制度の創設)

消費生活用製品安全法(消安法)は、消費生活用製品の安全性を確保するための法律として昭和49年に施行され、危険性の高い消費生活用製品の技術基準を定めて、安全性が担保されない製品の販売等を規制したり、製品事故に関する情報の収集や提供を行うなどの措置を講ずることにより、一般消費者の生命・身体に対する危害の防止を図っています。

  1. 長期使用製品安全点検制度の創設

平成19年2月に起きた小型ガス湯沸器による死亡事故など、近時、製品の経年劣化を主な原因とする重大な事故が発生しており、このような事故を未然に防止するための措置として、同法の改正により「長期使用製品安全点検制度」が創設されました。この制度は、消費者自身による保守が難しく、経年劣化による重大事故の発生のおそれが高いものを「特定保守製品」として指定し、その製造・輸入事業者、販売事業者等、関連事業者、所有者それぞれが適切に役割を果たすことにより、消費者による点検その他の保守を支援する制度です。具体的には、①特定保守製品の指定 ②特定保守製品の製造・輸入を行う事業者による保守情報の製品表示等 ③情報伝達サークル制度の構築 ④特定保守製品の点検その他の保守の体制の整備 ⑤点検の実施 ⑥国の役割 が定められています。この改正法は、平成21年4月1日から施行されます。

 

  1. 特定保守製品

消費生活用製品のうち、経年劣化により安全上支障が生じ、一般消費者の生命または身体に対して特に重大な危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品であって、使用状況等からみて適切な保守を促進することが適当なものを、「特定保守製品」として政令で定めています。それは次の9品目です。

  • 屋内式の都市ガス用瞬間湯沸器
  • 屋内式の液化石油ガス用瞬間湯沸器
  • 屋内式の都市ガス用ふろがま
  • 屋内式の液化石油ガス用ふろがま
  • 石油給湯器

「ボイラー」や「ふろがま」と称して販売されているものであっても、給湯機能が何らかの形で備わっているものであれば、屋内式、屋外式とも対象になります。

  • 石油ふろがま(屋内式、屋外式とも対象となります。)
  • 石油温風暖房機(密閉燃焼式)
  • 電気食器洗機(ビルトイン式)

システムキッチンに組み込むことができるように設計されたものであって、熱源として電気を使用するものに限ります。

  • 浴室用電気乾燥機

ガスで沸かした温水を利用するタイプのものは対象外です。なお、浴室用電気乾燥機には、換気機能がないものや、暖房機能がないものもありますが、乾燥機能を有するものは全て対象となります。

 

  1. 特定製造事業者等の義務

特定製造事業者等とは、特定保守製品の製造または輸入の事業を行う者をいい、次のような義務が課せられています。

  • 設計標準使用期間および点検期間を設定する義務
  • 特定保守製品への上記①の表示、書面(所有者票)の添付をする義務
  • 所有者情報に係る名簿等の作成および適切な管理をする義務
  • 点検通知および点検実施義務

 

  1. 宅地建物取引業者に係る義務

本法においては、上記の特定製造事業者等のほかに、「特定保守製品取引事業者」及び「関連事業者」という概念を設け、それぞれに一定の義務または責務を課しています。そして、宅地建物取引業者のうち、不動産販売事業者は前者の「特定保守製品取引事業者」に、不動産仲介業者は後者の「関連事業者」に該当することになり、同法上の一定の義務または責務を負うこととされています(ここで「義務」は行政処分を伴うもの、「責務」は行政処分を伴わないものという意味で区別しています)。

 

  • 不動産販売事業者(特定保守製品取引事業者)の義務と責任
  • 不動産販売事業者は、特定保守製品を取得者に引き渡す際に、点検等の保守や所有者情報(特定保守製品の所有者の氏名および住所等の情報)の提供(登録・変更)等の必要性を製品の取得者に説明しなければなりません。
  • 説明の方法は、製品に同梱されている「所有者票」を取得者に示して、そこに記載されている法定説明事項を説明するということになります。
  • 製品の取得者から所有者登録のため、所有者情報の提供を受けた場合は、特定製造事業者等に対する所有者情報の提供に協力しなければなりません(これは「義務」ではなく「責務」です)。この協力は、所有者票に記載された所有者登録の方法(所有者票の送付やウェブ登録等)の代行等によって行われます。

 

  • 不動産仲介業者(関連事業者)の責務

関連事業者とは、特定保守製品の取引の仲介、設置・修理、ガス・電気・石油供給を行う事業者のことをいい、不動産仲介業者はこれに該当します。関連事業者に一定の責務を負ってもらう趣旨は、製品の所有者に対して、点検等の保守や所有者情報の提供(登録・変更)の必要性についての情報提供を行い、所有者の取り組みをサポートする役割を担ってもらうというものです。具体的には、不動産仲介業者は、売主から買主に渡される建物の「設備表」に、特定保守製品の有無に関する記載欄を設けて、その設備表の脚注等に、次の事項を明記する等の方法により、売主から買主に特定保守製品の保守に関する情報が伝わるように努めることとされています。

≪その脚注等に明記する事項≫

  • 特定保守製品の所有者は、所有者情報の提供(登録・変更)が必要であること
  • 特定保守製品の点検期間に点検を行うことが必要であること
  • 特定製品事業者への連絡先は製品に表示されていること

 

  1. 所有者(消費者)の責務

特定保守製品の所有者は、特定製品事業者等に対して、所有者情報を提供(登録・変更)する義務を負うものとされています。また、製品の保守に関する情報を収集し、点検期間に点検を行う等その保守に努めるものとされています。

FUSOWのご案内

 

 

 

\ SNSでシェアしよう! /

仲介手数料不要!!リノベーション特選物件情報満載!!の注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

仲介手数料不要!!リノベーション特選物件情報満載!!の人気記事をお届けします。

関連記事

  • 目次(26)~(50)関連法に関する説明

  • 不動産売買における建築基準法の説明

  • 目次(3)~(25)関連法に関する説明

  • 東大和市清水6丁目『売地』3450万円FUSOWの仲介物件

  • 小金井市32.5坪3,280万円FUSOWの仲介物件

  • 不動産売買における都市計画法の説明